海外にも健康状態を確かめる制度はありますが、日本の会社員が受ける定期健康診断と同じ仕組みが世界共通で行われているわけではありません。日本、イングランド、米国の例だけでも、対象者、受ける間隔、検査を勧める主体が異なります。海外赴任や移住を考えている人は、「海外にも年1回の会社健診があるはず」と考えず、勤務先・加入する医療保険・滞在地域の案内を確認することが大切です。
日本・イングランド・米国では何が違う?
三つの制度を同じ言葉で「健康診断」とまとめると違いが見えにくくなります。日本の職場の定期健診は、事業者が常時使用する労働者に対して行う制度です。イングランドのNHS Health Checkは、一定の持病がない40〜74歳を主な対象として、心臓や血管に関係する病気のリスクを確認します。米国では、USPSTFが血圧など予防サービスごとに対象者や推奨を示す方式があります。
| 国・制度の例 | 主な対象と間隔 | 目的・特徴 |
|---|---|---|
| 日本:職場の定期健康診断 | 常時使用する労働者に原則1年以内ごとに1回 | 事業者が実施し、労働者の健康確保や就業上の措置につなげる |
| イングランド:NHS Health Check | 一定の既往症がない40〜74歳へ原則5年ごとに案内 | 心疾患、脳卒中、腎疾患、糖尿病などのリスクを評価する |
| 米国:USPSTFの予防サービス推奨 | 検査ごとに対象を設定。血圧スクリーニングは高血圧と診断されていない18歳以上が対象 | 全国一律の年1回の会社健診ではなく、予防サービスごとに推奨を示す |
この表は各国の医療制度全体を比べたものではなく、代表的な制度の違いを理解するための整理です。英国についてはイングランドのNHS Health Checkを取り上げています。スコットランド、ウェールズ、北アイルランドを含む英国全体に同じ制度が一律に適用されるという意味ではありません。
日本の「毎年まとめて受ける健診」が世界標準とは限らない
日本の職場では、法令で定められた項目をまとめて受ける定期健診が身近です。一方、米国のUSPSTFは、血圧、大腸がん、糖尿病など、予防サービスごとに年齢やリスクを踏まえた推奨を公表しています。そのため、米国に「すべての会社員が毎年同じ検査セットを受ける全国一律の制度がある」とは説明できません。
イングランドのNHS Health Checkも、日本の会社健診をそのまま置き換える制度ではありません。主な対象年齢と除外条件があり、地域のGPや自治体から案内されます。すでに特定の病気と診断されている人は、別の定期的な管理を受ける場合があります。年齢だけで自分が対象だと決めず、現地の案内で確認しましょう。
海外赴任・移住の前後に確認したい4項目
- 勤務先の指定: 赴任前後に必要な健診、提出期限、指定様式、費用負担を人事担当に確認します。
- 滞在国・地域の制度: 対象年齢、招待の方法、予約先を公的機関の最新案内で調べます。
- 加入する医療保険: 予防サービスが給付対象か、自己負担やネットワーク指定があるかを確認します。
- 個別の健康管理: 治療中の病気、服薬、予防接種、過去の検査結果は主治医と相談し、必要な記録を準備します。
日本企業から海外へ派遣される労働者には、派遣期間などの条件に応じて海外派遣労働者の健康診断が関係します。現地制度だけを見て、日本側の勤務先が案内する健診を省略しないでください。赴任前の準備は、海外赴任前の健康診断は何が違う?で詳しく確認できます。
日本で受ける健診を選ぶときは目的を分ける
日本国内でも、会社の定期健診、保険者が案内する特定健診、自治体のがん検診、人間ドックは目的や対象が異なります。海外との比較を読んだあとも、「どれか一つを受ければ全部同じ」と考えず、自分に届いた案内を基準にしてください。
定期健康診断の対象・頻度・費用と、特定健診と会社の健康診断の違いを読むと、日本国内の制度を整理できます。受ける制度と必要な検査が分かったら、地域から健康診断施設を探すで通いやすい施設を確認しましょう。受診券や会社指定の契約に対応するかは、予約前に保険者・勤務先・施設へ確認してください。
出典と確認日
- 厚生労働省 職場のあんぜんサイト「定期健康診断」(日本の職場健診の対象と頻度)。
- NHS「NHS Health Check」(イングランドの対象、間隔、目的)。
- U.S. Preventive Services Task Force「Hypertension in Adults: Screening」(米国の血圧スクリーニング推奨の例)。
出典確認日: 2026年9月18日。制度や対象は改定されることがあります。渡航・受診の前に勤務先、保険者、滞在地域の公的機関が示す最新情報を確認してください。

